私の構図について説明します。参考になれば幸いです。
私が風景画を描き始めた20歳頃の初期作品から現在まで、全ての作品はこの方法で構図を決めております。もし私の絵に安定感を感じていただけるなら、この構図の方法のためかもしれません。
フェルメールの『窓辺で手紙を読む女』(ドレスデン国立美術館)
学生時代、一日中フェルメールの画集を観ていた頃、この絵を糸を使って測り始めた際に見つけた方法です。もし手元にフェルメールの画集がありましたら、糸を使ってこの絵の短い方の一辺の長さで四隅などから円を描くように指を走らせて下さい。この絵の重要なポイントが面白いようにその円弧上に乗ることが解る筈です。意外なことに多くの印象派の絵でもこの方法が当てはまります。また違った絵の鑑賞の楽しみが出来る筈ですのでぜひお試し下さい。
原雅幸
2011年6月
*参考図では描き入れましたこれらの線には多少のズレがありますが、実作品では確実にポイントとなる場所を通っております。
上記の参考図(ドイル家のメールボックス)にはたくさんの曲線と直線が描き込まれていますので少々解りづらいかもしれませんが、要は対角を結ぶ直線と画面の四隅を中心点として円を描いた図であります。
私が構図を考える時は、画面にこれらの直線は引かず、円弧のほうだけを描きます。風景のポイントとなる部分がその円弧上に載るように置いたり、あるいは枝などを省いたりします。
その例として、この絵のメールボックスの位置を見てください。または杭の高さ、プレートの位置、羊の場所、家の位置などその円弧上にあることがお解りいただけると思います。これらの円弧は画面の四隅を起点もしくは中心点とした円でありますので、これらの円弧上に載る風景のポイントは全て画面の四隅へと繋がっていきます。私は絵画にとって 四隅がとても重要なものと考えています。